三條千晶

私が本格的に家族写真を撮り始めたのは出産後です。
「家族の記憶」の大切さを残したいと思ったのは産後で、夫の被災体験も理由の一つです。

3.11。

夫は自宅で津波に飲まれ、山に泳いでたどり着き
一夜をそこで過ごすのだけど、雪の降る時期。
彼は穴を掘り身を埋めて体に枯葉をかけて寒さをしのいだそうです。
津波で亡くなった方もいますが、
津波に飲まれて濡れた体で一晩を野外で過ごした方は凍死した人が多いと
聞きました。彼の実母がそうだったと聞いています。
生き残った者と亡くなった者と。
生き残って全てをなくした人。
一部をなくした人。
思い出の街はもうなくて、思い出の写真さえない。
彼の地元には街があった形跡がありません。
すべて津波に奪われたのです。
そんな過去を背負った人と私は結婚し、出産しました。

新たな命。

息子を抱いた彼が言いました。
「お袋に抱いて欲しかった」と。

震災がなければ亡くなることはなかった。
でも、震災がなければ息子は産まれることはなかった。
どっちがどっちではない。
私にはまだ、元気な両親がいます。
今のうちにたくさん、息子に触れてほしい。たくさん、写真を残してあげたい。と思います。

写真はその瞬間を切り取ります。
子供たちの小さい頃の記憶に残らない部分を写真で残してあげれば、
大きくなった時にこんなことがあって、こんな感じだった。と、話せるでしょう。

マタニティフォト、新生児フォト、授乳フォト、お宮参り、お食い初め、ハーフバースディ、誕生日、初節句。
還暦祝い、古希祝い、銀婚式なんだって良いのです。
桜が咲いたから、紫陽花が咲いたから、水遊びの季節だから、なんだって良いのです。
残したい瞬間に、生きてる家族で撮影したいなって思ったんです。

自分がいるのは、両親がいたから。
その両親にもまた両親がいたから。
そして、自分もまた命を繋ぐから。
Your World photographyは
あなたの世界を繋ぐすべてを写真に残したい。と、いう思いでつけました。

だから、生きてるうちに、
自分も含めて両親、祖父母、曽祖父母がいるなら
「一緒に生きてた時間」の共有する証拠でもいい。
写真を残してほしいなと思うのです。

だから、私が撮りますよ!ではなくてね。

1歳過ぎたら写真が減ったとか
2人目だから少ないとかではなく
撮り続けてほしいなと思います。